「サブスクリプションの収益管理と企業価値評価」1p163にて以下の記述が興味深かった。マッキンゼーの企業価値評価2ではフリーキャッシュフローの算出にEBITを用いてはいけないとされているが、本書では使用可能とした理由について、以下のように説明している。
McKinsey & Company et al. (2020)は、企業が存続のために必ず計上すべき設備投資は、必要な費用としてあらかじめFCFから除外する必要があり、完全には一致しないものの有形固定資産の減価償却費がそれにあてはまる、ということを示しているものと思われる。しかしながら本章では、無形資産の償却費に関するデータの取得には限界があることや、後で述べるマルチプル法でもEBITを用いることが可能であることから、EBITまたはEBITAのどちらも可能であるとした。
第5章 投資家にとってのサブスクリプション
オブジェと化していたマッキンゼー本を読んでみると、確かにそんな記述がある。
マルチプル法でも、同様にマッキンゼー本では、収益から同減価償却を差し引くことは将来キャッシュフローや企業価値をより忠実に表すものであるとして、EBITDAは用いないとされている。が実務上は圧倒的にEBITDAを用いたマルチプル法が多い。
マッキンゼー本はEBITA推しだけど、実務だと難しい、という話。
EBIT | 利払前・税引前利益 | 営業利益3 |
NOPLAT | 税引き後営業利益 | EBIT(1-実効税率) |
EBITA | EBIT+Amortization(無形固定資産に係る償却費) | EBIT+無形資産減価償却費 |
EBITDA | EBITA+Depreciation(減価償却) | EBITA+減価償却費 |