ファイナンスの視点から、サブスクリプションビジネスを整理する。このサブスクリプションは採算が取れているのか? と言う問いに対し、事業者、投資家、財務・税務、利用者それぞれの視点でどのように評価していくかのアプローチを解説している。まずはサブスクリプションと呼ぶための機能要件を以下とする。
- Service-dominant, Contents: サービス・ドミナント、商品サービス
- Recurring: 繰り返し機能
- Information: 情報活用機能
- Pricing: 価格設定機能
- Transformation: バージョンアップ機能
これらを並べて"SCRIPT"と呼んでいる。Tとか無理矢理感がある。この要件に従うと、雑誌の定期購読やリース・レンタルは定額課金とはいえ、情報活用機能がないまたは不十分なのでサブスクリプションではない。契約体型としてはカーリースの一種であるKINTOは、顧客情報活用の点からサブスクリプションとなる。
第3章にて、複数サービスで利用できるサブスクリプションの価値算出に共創価値を導入している点が興味深い(式3-A, p98)。
$$ \begin{aligned} サブスクリプション価値&=共創価値+交換価値\\ &=\Sigma使用価値+経験価値+交換価値 \end{aligned} $$
このサブスクリプション価値はすなわち顧客価値である。言い換えるとサブスクリプションにて提供される顧客価値がただの都度取引と同等である場合は、サブスクリプションビジネスとしては不十分ということになる。
第5章で、NetflixやKADOKAWA、Rent The Runwayなど各事業領域でのサブスクリプションビジネスを行っている企業を対象に、\(\frac{EV}{EBIT}\)マルチプルを算出を試みているのがとても面白かった。
先日本書に関連するポストをメモを投稿したのでリンクを貼っておく。