OpenAIが営利企業への転身を諦め、NPOが監督する組織体制へと変換する(正確には戻す)。Public Benefit Corporation(PBC)を維持するということで、PBCについてメモした。この動きの意味するところはなんだろう。

OpenAI、妥協迫られ「非営利維持」 IPOへの道険しく - 日本経済新聞
OpenAI、妥協迫られ「非営利維持」 IPOへの道険しく - 日本経済新聞
【シリコンバレー=山田遼太郎】米オープンAIが営利企業に脱皮する計画を断念した。人間の知能を超えるAGI(汎用人工知能)の実現が近いとされるなか、人工知能(AI)のトップ企業が利益を追求する経営に転換することには「安全性を損なう」との懸念が強かった。妥協を迫られたことは、新規株式公開(IPO)など将来戦略に影響する。「人類への恩恵」は使命かつ義務オープンAIは5日、方針転換の理由を「市民社会
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「AGIが人類全体に恩恵をもたらすことを保証する」を使命に掲げ、かつ現時点で生成AI企業でのトップランナーである以上、株主利益を優先する企業形態は認められない、とされる。論点は、NPO法人出会っても今後も巨額の資金調達は続けられるのかどうか、IPOはできるかどうか。

OpenAI Abandons Planned For-Profit Conversion
OpenAI Abandons Planned For-Profit Conversion
The maker of ChatGPT said it made the decision to remain under the control of a nonprofit organization.
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「(営利化への転換を強く反対していた)マスク氏の勝利」と明言されている。数百億ドルクラスの資金調達は、さまざまな顰蹙を買ってしまう模様。公益法人であれば、巨額投資にはアクセスできる、というのがOpenAIのコメントだが詳細は語られず。

OpenAI negotiates with Microsoft to unlock new funding and future IPO
OpenAI negotiates with Microsoft to unlock new funding and future IPO
High-stakes talks to revise terms of multibillion-dollar partnership are key to plans to adopt for-profit model
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既に巨額投資しているマイクロソフトは、2019年に交わした契約を改定しており、IPOすることも、マイクソフトが株を受け取ることも可能らしい。「悪いパートナーではあるが、やり切るしかない」 そのためには、公益法人として承認されることが必須。投資家を満足させつつ、公益性を担保するという難しい舵取りが要求される、としている。

Sam’s Letter to Employees.にも書かれていたが、そもそもこうした基盤モデルを提供する企業は、OpenAIの競合のAnthropicやxAIも同じくPBCを選択している。両者とも潤沢なお財布があり、今のところIPOは不要そうだが、GPUクラスタ費用次第な気もする。