一時的に40を超えたVIX指数1、米中の関税応酬の回避が材料なのか、これを書いている現在は20を下回って推移している。

VIX指数は市場の期待する30日間のボラティリティで。S&P500オプションの市場価格からインプライド・ボラティリティを逆算(語弊あり、後述)することで求められる。

VIX指数を\(\sigma\times100\)として、

$$ \sigma^2=\frac{2}{T}\sum_{i}^{}\frac{\Delta K_i}{K^2_i}e^{RT}Q(K_i)-\frac{1}{T}\left[\frac{F}{K_0}-1\right]^2 $$

  • \(T\): 満期
  • \(F\): 満期\(T\)の先渡価格
  • \(K_0\): 先渡価格\(F\)を下回る中で最大の行使価格
  • \(K_i\): \(i\)番目のOTMオプション価格。コールなら\(K_i>K_0\)、プットなら\(K_i<K_0\)
  • \(\Delta K_i\): 行使価格の間隔。つまり\(\frac{K_{i+1}-K_{i-1}}{2}\)
  • \(R\): (リスク中立)金利
  • \(Q(K_i)\): 行使価格\(K\)、満期\(T\)のオプション価格のビットアスクスプレッドの中点

市場で取引されている先渡価格とOTMの行使価格から算出された期待値、つまり市場がS&P500の価格変動にどれだけ反応するか、という数値。市場価格からインプライド・ボラティリティへの逆算ではあるが、ブラック・ショールズ式を逆算しているわけではない。第2項は先渡価格と行使価格の乖離を補正するためのもの。White paperに具体的な数値を使って説明されている。

数式見て分かる通り、OTMの行使価格によって算出されるため、オプションの各取引によって清算値を一時的にでも操作可能できるのではないか、と妄想してたら、実際に2018年にそういう内部告発があったらしい。調査結果は公表されていない2

シカゴ・オプション取引所(CBOE)はVIXに加えて、満期を1日にしたVIX1Dも公開している。満期\(T\)は正確にはコンスタントマチュリティであり、1Dの場合は、当日満期と翌日満期のオプションを組み合わせて算出される。この辺りの加重平均もWhite paperに記載されている。