昨日のポスト「Builder.aiの誇大広告」で参照したコラム1ではBuilder.aiの他に、内国歳入法(Internal Revenue Code, IRC)174条がトピックになっている。

この174条とは第1次トランプ政権時の2017年に成立した税制改革(Tax Cuts and Jobs Act, TCJA)を発端としている。TCJA施行前は、企業は研究開発費の総額を課税年度の費用として控除していたが、4年間の猶予期間を経て2022年からは、研究開発費は米国企業では5年、米国以外の企業では15年で償却しなければならなくなった。これが内国歳入法第174条の改正。

正確には「指定試験研究費の定額償却」が義務付けられる。この「指定試験研究費」とは、改正前で定義されている「試験研究費」と同じと考えるのが妥当らしい。これまで経費として処理していた研究開発費を資産として償却しなければならなくなったため、そりゃ混乱する2。エンジニアの採用が減っていることと関連づける意見も3。当然、アメリカで研究開発を行っている日本企業も無関係ではない4

174条税制優遇の対象、つまり174条適用除外として、市場調査や広告活動、品質管理やルーチンな製品テストなどが定められているが、適切な法令遵守は逸脱するだろう。

このメモを書いている現時点では、TCJA 174条について改正し、研究開発費の即時償却を可能にする法案を下院が可決したらしい。

米国、法案修正審議に先立ち下院税制修正案可決
米国、法案修正審議に先立ち下院税制修正案可決
米国下院は5月22日、税制改正の焦点であった減税・雇用法(TCJA)の期限延長措置、財源確保策を規定した予算調整代替修正案を発表しました。今後、上院の審議、両院調整を経て可決が試みられる予定です。
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