Business War PodcastのTwitter vs イーロン・マスクのドキュメンタリーが面白かった。エピソード自体は2023年5月あたりに公開されたもので、最近、再配信されたものを聞いた。今はエピソード1以外は課金が必要な模様。

Episode 1

Twitterが収益化に足踏みしている中、当時のCEOジャック・ドーシーはパラグ・アグラワルを後任に指名する。以前よりTwitterのようなプラットフォームに興味を持っていたイーロン・マスクはこれを好機と捉え、Twitter株の保有を進めつつ、経営陣に改革を要求、最終的には買収の提案を行う。

Episode 2

マスクは取締役会には出席せず、市場価格を大きく上回る買収及び非公開化を提案。しかし彼のTwitter買収の意図や計画は謎だった。マスクは取締役会に対する口撃を続けつつ、好条件に加えデューデリジェンスを実施しないとまで約束。結果Twitter取締役会とマスクは買収の合意に達する。その最中、ウクライナ紛争でテスラ社の株価が下がり資金調達難から、マスクは本当に買収できるか不安視される。社員に対しても、買収による具体的な計画は一向に話されることはなかった。

Episode 3

SECに提出した書類が公開され、マスクは買収契約からの離脱を考えていることが明らかに。Twitterに情報提供を求めつつ、裁判を先延ばしにし時間切れを図る作戦に出ていたが、買収までの赤裸々なテキストが公開され世間から非難を浴びる中で、マスクは180度方針を転換。当初の買収提案価格での買収をする。彼の人員計画が従業員を不安にさせる中、早速、経営陣の主要メンバーは全員解雇される。そしてテスラのお気に入りエンジニアや知人のビジネスパートナーを呼び寄せ、従業員を評価させ、その評価をもとに解雇リストが作成されていく

Episode 4

人員削減が実行される。しかし、重要システムを担っていたエンジニアが含まれていたり、削減後のレポートラインが崩壊していたりしと、解雇者リストやタイミングは杜撰だった。一方で、マスクのいう未来のプラットフォームを信じ働く従業員も出始める。ただマスクの考えるプラットフォームの理想が何なのか、何をすべきなのか、従業員はわからないままだった。急ピッチでリリースされたTwitter Blueはなりすまし対策が杜撰で、さらなる広告主離れを引き起こす。それでもマスクは止まらず、Twitter2.0にさらなる忠誠心を求めるメールを送信する。

Episode 5

マスクらのリーダーシップは、システム運営に影響を与えるほどの従業員離れを引き起こしかける。マスクは財務を安定させつつTwitterを発展するという難しい経営を求められていた。また『言論の自由』と『透明性』の両立するコンテンツ管理、という難題に取り組まなければならなかった。かつてTwitterが言論統制を行ったことを示唆するTwitterファイルを公開しするなど、マスクは安全性について特にアピールしていく。一方で、マスクが気に入らない投稿は次々と閉鎖され、誰もがTwitterの未来を信じられなくなる。

Episode 6

マスクとリベラルとの対立が深まり、そもそもイーロン自身のインプレッションが減っていく中で、スーパーボウルを餌に新たな広告主を呼び寄せることに成功する。しかしスーパーボウルのトラフィックにサイトは耐えられなかった。マスクはエンゲージメント改善のアリゴリズム開発を指示。広告オーナーのツイートがトップに来るような変更だった。投稿内容の偏りが非難される中、マスクは広告業界での経験が深いリンダ・ヤッカリーノを後任のCEOに指名し、Twitterの運営を託す。

ところで、創業期の話も面白い

ちなみにヤッカリーノはちょっと前にTwitter改めXのCEOを退任している1

Twitterの創業期の話は「ツイッター創業物語」に詳しい。Twitterは、何かユーザーのペインポイントを解消したかったとか、差別化できる技術シードを持っていたとかそういうのじゃなくて、とにかく一山当てたいソフトウェアエンジニアが頑張った結果生まれたもの。

すっかりTwitterの顔であるジャック・ドーシーが同僚の女性の机に好意で花を置き続けたり(彼氏に止められても続けた)、エヴァン・ウィリアムズCEO時代は何の権限もないはずなのに、あたかもTwitterの代表であるが如く活動していたとか、そういうカオスなエピソードが紹介されている。

ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り ニック・ビルトン

そんなドーシーもS&P500に採用されたBlockの創業者であり、持っているもの持ってるんだな、と。