水は低きに流れるというか、人はやりやすいタスクを選びがちである。それがインパクトの大きいうちはまだいいが、次第にインパクトの小さいものしか残っていない時に、難しいがインパクトの大きい仕事を取るのではなく、引き続き簡単でインパクトの小さい仕事をこなしてしまう。これを「スナッキング」と呼ぶ。
スナッキングとは、完了しやすいが影響力の低い作業をすることだ。スナッキングはどこでも起こるが、特に、もう役に立たない仕事にしがみつこうとしている統括責任者には多く見られる。
エンジニアリング統括責任者の手引き 24章 エンジニアリング統括責任者のポジションを離れる
スナッキングついては、前著「スタッフエンジニア」の第2章に詳しい。あるいは、著者のブログにもほぼ同じ内容が書かれている1。元々は下記記事からの引用らしい。ちなみにスナッキング(Snacking)とは間色とかつまみ食いの意味。
インパクトの大小を縦軸に、労力の大小を横軸に置いたとき、左下の象限に引き寄せられてしまう(下図)。この状態が続くと、成果の上がらない低インパクトなチームとなってしまう。

Will Larsonは重要なことに力を注ぐために、スナッキング以外に以下の行為にも注意することを提言する。
プリーニングをやめる
スナッキングの中でも、目立つもの、でもインパクトの弱いタスクをこなすことをプリーニングと呼ぶ。企業の多くは、高い視認性と強いインパクトを混同している。つまりプリーニングとインパクトの区別ができていない。価値の疑わしい仕事に多くの時間を費やしているにも関わらず、社内ミーティングで表彰されたりする。ちなみにプリーニングは羽繕いや身繕いという意味。
ゴーストチェイシングをやめる
目の前の課題の根本を誤解した上で戦略の転換を図ろうとすることをコーストチェイシングと呼ぶ。前職の状況=ゴーストに取り憑かれたまま、新しい会社を理解しようとしている。自分の経験が絶対に正しいと誤解している。
では何に取り組むべきか
「スタッフエンジニア」では以下のポイントで整理されている。
- 入り込む余地があり、なおかつ注目が集まる場所で働く: 何に直面しているかを理解し、適切なタイミングを見計らって労力を費やす
- 成長を促す: 採用だけでなく、オンボーディング、メンタリング、コーチングなどにも投資あるいは活用してく
- エディティング: 何かちょっとした変化を起こすことで、プロジェクトを前進させる
- 物事を結末に導く: プロジェクトは完了して初めて価値を生む。特殊なエディティングとも言える