NVIDIAのH20が中国当局による輸入規制の議論に挙がっている1。アメリカからの輸出規制の範囲外とする代わりに監視ツールを入れることを要求するアメリカ政府に対し、それはセキュリティ上看過できない中国が輸入を規制しようとしている構図。中国で年2兆円を売り上げるNVIDIAとしては、アメリカ側の輸出規制も中国側の輸入規制も、何としてでも回避したい。中国としてもH20を諦めることはできないはずなので、大方の予想通り、そのまま輸入されるだろうと思われる。

(8/23追記) どうやらNVIDIAにてH20の生産停止の要請があったらしい2

H20は、アメリカ政府による中国への輸出規制の回避のために、意図的に性能を抑えたチップで、具体的にはFP16で296TFLOPSのスペック。ちなみにH100は1,979TFLOPS3。この演算性能は、アメリカ産業安全保障局(BIS)のECCN(Export Control Classification Number)に定められている、輸出ライセンスが必要かどうかの閾値に合わせられているらしい。

NVIDIAは、Hopperの次の世代、Blackwell世代でも、同様に輸出規制を掻い潜るB30Aを準備中という噂4。一方で、安全保障上の懸念を排除したい中国は、AI向けデータセンターの自給率を2027年までに70%以上にする目標を立てている5

さて、それに関連あるような無いような話題

DeepSeekの次のモデルが、Huaweiのチップ上での学習が思うように進まず、進捗が悪いらしい。記事によれば、当初はNVIDIAのGPUは使わずにHuaweiのAscendプロセッサで学習を進めたが、技術的な課題により、学習をNVIDIA、推論をHuaweiで行う方針に変更した。まだこの推論部分でも足を引っ張っているらしい。

NVIDIAの技術的優位性を再確認するようなニュースではあるが、記事にも書かれている通り、Huaweiがこの問題を解決し、DeepSeekを始めとする基盤モデルの推論が効率的に動くのも時間の問題だと思う。学習はまだ時間がかかるのかもしれないが、グローバルトップのモデルの大規模分散学習の経験を着実に積むことは非常に有意。2027年までに実現するかはさておき、そのうち、H20相当というか、1世代前くらいのAIチップは、中国国内で量産できるようになっているのではないか。

実戦に勝る経験はない。