破竹の勢いで成長し、時価総額4兆ドルを突破したばかりなのに、5兆ドル突破を期待されているNVIDIA。だが、成長の勢いは電力不足の壁に阻まれるかもしれない、というEconomistの記事1。
これまでのチップの進歩は、演算性能が上がると同時に、電力効率も上がってきていた。しかし、昨今のAIブームは、電力効率の進化速度を上回る電力需要の伸び率であり、電力共有が追いつかない将来が予想される。電力不足に対しては、新たなる発電所の建設や再生エネルギーで補おうとしているが、どうも追いつかなそう。
メモリーの進歩も激しい。GPUの需要とともに伸びる成長分野で、SK HynixがHBMの約50%のシェアを握る一方、中国勢も台頭してくるかもしれない、という記事。
DRAMからHBM、HBM4と電力効率は大きく改善されるが2、その分、GPUにエネルギーが回る、という構図。このFTの記事、積層の仕組みやHBM4の進化ポイントなど、技術的解説がイヤに詳しくて面白い。
一方で、約2か月前の話だけど、AI向け低消費電力プロセッサのスタートアップ企業、Esperanto Technologiesは事業縮小との報道3。
“What we saw in the marketplace was people, unbelievably, don’t seem to care about data center power any more,” Swift said. “Energy efficiency has always been a difficult sell because if there’s a power budget that’s unlimited, then energy efficiency doesn’t really matter.”
曰く、誰も電力問題を重要視していない。悲しい。
ちなみに、我が国が誇るスパコンABCIは、先日、東京電力の瞬時電圧低下により停止していた4。それが将来を予見する電力不足なのか、一時的な不具合だったのかは公表からは分からないが。
ちょうど1年前、電力需要は中期的に減る、という逆張り記事があったなー、と5