約5年前の記事だが、マッキンゼーの戦略コンサルティングとはどういうビジネスなのか、が書かれているコラムがある。

2020年のアメリカ大統領選で、民主党の指名を争ったPete Buttigieg氏がエリートど真ん中であるマッキンゼー出身ということで、そのマッキンゼーとはどういった企業か、を「中産階級を破壊した」とキャッチーに紹介している。

書かれていることを簡単にまとめると

  • 1940〜60年代は、モノやサービスの価値を生み出す生産計画・調整薬を中間管理職も担っており、今よりもずっと、トップ経営陣との格差は小さかった。
  • 初期のマッキンゼーは工場経営者に対する助言を行っていた。1970年からの株主第一主義という理念の流行とともに、経営機能をトップエリートに集中させるようなコンサルティングを行うようになる
  • マッキンゼーらの業務改善プロセスは結局は効率化・合理化という名の間接費削減が目的であり、ミドルマネジメント層がその対象となった。
  • 1990年の大規模な人員削減に続き、生産現場がかつて担っていた管理機能は廃止され、労働組は解体され、正社員よりパートタイムが重視される

この結果、管理権限はごく少数の経営陣に集中し、CEOと一般従業員の年収の差は約300倍に達している1。こうした動きを先導したのがマッキンゼーだと。

曰く、経営コンサルティングとは、終身雇用を短期契約・パートタイム・外部委託に置き換えることを可能にするツールである。

In effect, management consulting is a tool that allows corporations to replace lifetime employees with short-term, part-time, and even subcontracted workers, hired under ever more tightly controlled arrangements, who sell particular skills and even specified outputs, and who manage nothing at all.

How McKinsey Destroyed the Middle Class - The Atlantic

リベラル寄りのメディアとはいえ、なかなかに大味な論理。

なぜブックマークの奥底で眠っていた5年前のコラムを今さら再読したかというと、ある戦略コンサルティング会社に勤める知人と、AIによって管理職がどうなるか、みたいな議論をして、このコラムを思い出したから。