日経新聞が報じていた、アメリカで注目されているベーシスシフトなる節税手法が面白い。ベーシスとは税務上の取得簿価のこと。資産は基本的には年々償却されていくが、グループ会社に対象の資産を移管する=シフトすることで、取得簿価が復活し、また償却できるようになる。そして損金として処理して、税負担が軽くする。

記事にも書かれているが、アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)は激おこで1、今年1月に、特定のパートナーシップ関連当事者間の「基礎調整取引」および実質的に類似する取引を、報告義務のある取引(TOI: Transactions of Interest)として明確に定義したが、4月に撤回された2。MAGAのロビイングすごいな

節税のロジックは分かったけど、それが成り立つ理屈が分からなかったので、大衆向け解説をいろいろと眺めていた3

  • LLC(有限責任会社)やパートナーシップ間での持分の売却・相続に関するルール
  • 移転時に、償却された価格ではなく、時価の適用が認められている
  • 相続税に加えてキャピタルゲイン税まで課すのを回避

というような理屈らしい。これはこれで必要そうな仕組み。ここを、将来の税負担を減らすのに利用する。

専門家が指摘する通り、何の経済活動にも紐づかない、人為的な調整である。

The most problematic basis shifting transactions attempt to exploit mechanical rules to engineer increases in the basis of certain assets in a manner that is inconsistent with real world economics.

How large businesses use partnerships to create tax deductions out of thin air: An explainer on related party basis shifting3