T2D3とは、SaaS系のスタートアップ企業が急成長を遂げるための理想的な成長モデルで、ARR(年間計上収益)を最初の2年間は毎年3倍、その後の3年間は毎年2倍に成長させ、5年間で72倍に拡大することを目指す。“Triple, Triple, Double, Double, Double"の略。
Battery Ventures のNeeraj Agrawal氏が、Product Market Fit (PMF) 達成の道筋として、T2D3のコンセプトを解説している。もう10年前の記事。
ARR 1億ドル達成までは以下のフェーズがあるとする。
- ARR 200万ドル: 平均取引額が3万〜8万ドルとして、30〜60社の顧客獲得を目指す
- ARR 600万ドル(3倍): 創業者はほぼ全ての案件を達成する。さらに、5〜10人の営業を、更なる成果を出す部隊と、翌年に向けた準備を行う部隊の半々で配置する。
- ARR 1,800万ドル(3倍): 10〜20人の営業担当の約半数が戦力化されている状態。営業担当VPを中心とした営業管理体制を構築。これにより大規模なスケールアップの基盤が構築され、。最も困難なマイルストーン
- ARR 3,6000万ドル(2倍): 20〜30人の営業担当者と、3〜5名の現場マネージャーからなるチームを編成し、EU市場の営業体制を確立する。特定の地域に集中し、そこから各国で確実に成果を出せるリーダーを育成する。
- ARR 7,200万ドル(2倍): 組織運営の多くの課題に直面しつつも、リセラーやパートナーチャンネルを効果的に機能さる5,000万ドル達成前は、リセラーネットワークを構築し始めるのは時期尚早。まだ量より質。
- ARR 1億4,400万ドル(2倍): 情報の可能性が見えてくる。
金額感は執筆当時の2015年の基準。記事には、SalesforceやZendeskが概ね、T2D3の成長曲線に従っていることを示している。
これらの成長速度を達成するためには、ネットワーク効果のような事業の内容に目を向けるのではなく、営業を中心とした組織体制の視点で、PFM達成からイグジットまでの経験則をまとめている。