本当にビリオネア(10億ドル長者)かどうかはさておき、ブルーカラー1の給与の伸びが大きいらしい。

ブルーカラービリオネアという単語そのものは新しいものではない。少なくとも2016年のアメリカ大統領選挙の時点で、トランプ候補(当時)を「ブルーカラービリオネア」とアピールする形で使われている2。息子であるドナルド・トランプ・ジュニア考案のアピール表現、というインタビューがあった3

こうした出自を見るにポピュリズム的な解釈をするのが妥当だと思う。ブルーカラービリオネアは「富裕層なのに庶民の味方を演出する指導者像」というアイデンティティを示すキーワードだった。

ただ冒頭に貼った日経新聞の記事は、ポピュリズムの文脈ではなく、AIによる産業構造の変化という文脈で、ブルーカラービリオネアという単語を使っている。

AIには代替できない、技能を習得し経験を積んだ配管工や自動車整備士など、日本の職人に相当する技能工への需要が高まっている。

AI化が理由による人員削減は、全体からすると比率としてはだいぶ小さいものの、景気に依らない人員削減、つまり何かしら産業構造変化が起きている可能性である点が指摘されている45

数か月前にshop classという実習科目のメモを取っていた。こうしたshop classの需要はますます高まっている。

AIの指導により技能を身に着けた人間が、AIの指示により過酷な肉体労働を効率的に行う、そんな未来なのかもしれない。