イノベーションマネジメントシステム(IMS)の国際規格、ISO 56002には企業や組織が継続的にイノベーションを生み出す仕組みを構築・運用するためのガイドラインが示されている。
構成としては他のISOマネジメント規格と同じ、ハイレベルストラクチャー、つまりPDCAサイクルで運用できる仕組み。以下のような区分を持つ。
- 4 組織の状況: 組織の目的・課題・ステークホルダーを把握
- 5 リーダーシップ: トップマネジメントが方向性・文化を形成
- 6 計画: イノベーション戦略、リスクと機会の評価
- 7 支援: 人材、知識、ツール、パートナーシップの整備
- 8 活動: アイデア創出・評価・実装・商業化までの流れ
- 9 パフォーマンス評価: KPI設定、レビュー、学習
- 10 改善: 成果と学びを次のサイクルに反映
前提として、イノベーションを「偶然のひらめき」ではなく、明確なステップを持つプロセスとして扱っている、と解釈するのがよさそう。ISOの考えるIMSの考え方やその背景は三菱総研資料が参考になった1。
ISO 56002は2019年7月に発行された。対応する要求事項規格 ISO 56001が今年まとめられ、6月より認証が開始されている。
Effectuationとの関係
成功した起業家たち指向プロセスをまとめた Effectuation というのがあり、個人的にはこちらを大いに参考にしている。このEffectuationとISO 56002は直交するもの、あるいは補完系とみてよさそう。IMSのアクションプランなど、微妙に相いれない部分もありそうではあるが、Effectuationが行動原理、ISOがそれを支える組織マネジメント、みたいな理解。
日本企業におけるイノベーション創出に向けた経営について (METI/経済産業省) > イノベーション経営の普及びオープンイノベーション促進に係る調査 ↩︎
