Nepo babyとは、親や家族が有名人・成功者であることで、その業界に入りやすくなったり、チャンスを得やすい若者のことを指すカジュアルな言葉。nepotism(縁故主義)とbabyを組み合わせた造語で、主に芸能界・映画・ファッションなどで使われる1。ぴったりの日本語訳はないが、二世タレント、二世議員、親の七光り、あたりが対訳だろうか。

Nepo babyという言葉自体が取り上げられたのは2022年。CNNによると、HBOのドラマ「EUPHORIA」のシーズン2で、キャストの1人であるMaude Apatowが有名な監督と女優の娘あることが驚きを持ってX(当時はTwitter)に投稿され、同じような知られていない縁故採用(に見える)例をユーザーが探すようになり、Nepo babyという言葉が広まった。

Nepo babyは来歴からして基本的には批判的な文脈で使われる。NYTがNepo babyに対する失望や嫉妬をまとめていた。2022年の記事

The phrase “nepotism baby” (or the diminutive “nepo baby”) has pervaded social media in earnest expressions of surprise (“just found out…”), envy (“pls god why couldn’t i have been a nepotism baby”) and even admiration (some favorites include Ms. Apatow, Zoë Kravitz and Dakota Johnson).

(「ネポベイビー」(または短縮形の「ネポベビー」という表現)がソーシャルメディアで広く使われるようになり、驚きの声(「初めて知った…」)、羨望の念(「どうして私はネポベイビーじゃなかったんだろう」)、さらには称賛の言葉まで飛び交っています。)

Warner Bors. Discoveryの買収をめぐるNetflixとParamount Skydanceの争奪戦が、ちょうど叩き上げ vs Nepo babyの構造として報道されている2。この買収に口を出す気満々のトランプ大統領はNepo babyの頂点かもしれない3


  1. Nepo baby - Wikipedia ↩︎

  2. ウォール街、強まる「親の七光り」対「たたき上げ」の構図 - 日本経済新聞 ↩︎

  3. Nepo Baby of the Week: Obviously, Donald Trump < この風刺コラムのような批判に対し、トランプ氏自身は実力で不動産業界で成功した、という支持者もいる ↩︎