利益追求だけでなく、倫理・社会的責任・持続可能性を企業活動の中心に据えるべきだという資本主義のあり方を、倫理資本主義という概念で表す。企業は社会の一部であり、社会の信頼や環境を犠牲にして利益を上げるべきではない、ステークホルダーに配慮した経営を行うべき、という考え方が背景にある。
近年のAIブームにより、経営資源を倫理に振る例が増え始めているが1、もっとも18世紀にアダム・スミスが経済と倫理の結びつきに言及しており2、こうした概念自体は古くから存在する。ただ倫理資本主義という言葉は、ESGやSDGsのような持続可能な社会を目指す運動と共に登場するようになったので、10~20年の潮流、と見て良さそう。
Brunello Cucinelli
哲学経営の象徴だと自分が勝手に思っているのが、イタリアのラグジュアリーブランド Brunello Cucinelli (ブルネロ・クチネリ)だ。
ウェブサイトに行くといきなりカントである3。
創業者の Cucinelli 氏は人間主義的資本主義(humanistic capitalism)を掲げ、自身をソロメオの人間主義、と表現する。イタリア、ウンブリア州のソロメオにある古代ローマ様式の野外劇場を再生させ、地域準民らと主に文化活動の拠点としている。
AIについても早くに注目し、2021年には専門チームを編成、2024年9月に Solomei AI をローンチしている。が、このメモを書いているときは、うまく動作しなかった。ぜひ、加速主義(メモ)についての意見を聞いてみたかったのだが。
アダム・スミスは「経済学の父」とされているが、哲学者、倫理学者である > アダム・スミス - Wikipedia ↩︎
もちろんショップのサイトは普通 > Brunello Cucinelli: Official boutique for women, men and kids ↩︎