サメ肌の微細構造を模倣し、表面に細かな縦溝をつけて流体抵抗を減らす加工技術、リブレット加工の紹介動画が面白かった。
こうした、生物の仕組みを模倣して技術やデザインの課題解決に応用する手法を バイオミミクリー(Biomimicry) という1。
1997年にJanine M. Benyus氏が著した「Biomimicry: Innovation Inspired by Nature」を契機に広まった。生物が38億年の進化の中で培ってきた仕組みや原理を模倣し、人間の技術・デザイン・社会システムに応用することで、より持続可能で調和的な解決策を生み出すことを目的とする概念である1。
Biomimicry 3.8という、コンサルティングや教育を行うバイオミミクリー専門組織がある。“3.8"は3.8 billion(38億年)の進化から。日本にも、バイオミミクリーの理念を社会に広める活動を行うバイオミミクリー・ジャパンという社団法人がある。
より古くには、 バイオミメティクス(Biomimetics) という概念がある。1950年代に生物の電気現象を研究していた Otto Schmitt 氏が提唱した概念で2、生物の構造や機能を工学へ応用することで新しい材料・デバイス・技術を開発する学際的分野。生物の仕組みを模様して性能向上や機能革新を実現することを目的とする3。
Benyus氏の提唱に従うのであれば、バイオミメティクスを社会課題の解決などより哲学的に広げたのがバイオミミクリー、ともいえるが、少なくともWikipediaでは同様の概念としてまとめられている4。
