ビットコイン価格が上がっていない。チャート上では、上昇トレンドが明確に終わり、特に回復するような気配もない。アナリストっぽい言い方をすると下げトレンド、上げ材料が見当たらない、とかになるだろうか。少なくとも、トランプ相場で今年の8/14に$123,561、10/7に$124,774を記録して以降、また10万ドルを超える気配はない。

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約2年間のBitcoinチャート

約2年間のBitcoinチャート1

この下げトレンドに、投機的にビットコイン資産を増やしてきた、ビットコインを保有することそのものが企業戦略となっている企業が苦境に立たされている。当然の話ではある。

ここで mNAV という指標が登場する。m は multiple の m で、日本語だとそのままNAV倍率。

$$ \mathrm{mNAV} = \frac{\text{企業価値(≒時価総額)}}{\text{保有ビットコインの時価}} $$

NAV (Net Asset Value) はBS上の資産から負債を引いた純資産総額を指すが2、少なくとも仮想通貨メディアではmNAVの分子には時価総額が使われている。収益力やリスクの指標ではなく、ビットコイン保有企業への期待値、と見るのが良さそう。

mNAV=1はつまりほぼビットコインを所有するのと同じ。1未満だと、ビットコイン買った方がマシ、ということになる。

ビットコイン保有量ランキングトップがStrategyというアメリカの会社でNASDAQに上場している。データ分析SaaSを提供するソフトウェア会社だったらしいが、今はビットコイン戦略が支配的。このメモを書いている12/24時点でのmNAVは0.93でかなりレバレッジ期待が厳しい3

和製Strategyともいえる会社がメタプラネットで、東証スタンダードに上場している。ビットコイン保有量は上場企業としては世界4位で、mNAVは1.33と最近1を超えて回復したらしい3。たまに市況かぶ全力2階建でネタにされている会社4

指数算出大手のMSCIは10月に総資産に占める仮想通貨資産の割合が半分以上の企業を主要指数から除外、というアナウンスがあり、Strategyはピンチらしい5