広い意味ではダイナミックプライシングの1つだが、特に、購買履歴や位置情報、年収などの個人情報を用いて価格を変動させることを、パーソナライズドプライシングと呼ぶ。ニューヨークでは、こうした個人のプロファイルを元に価格を変動させるダイナミックプライシングを規制する動きがある1。
ニューヨークで規制が議論されるのは、パーソナライズドプライシングが、人種や性別・職業などへの差別や物価高の助長につながる可能性があるからだが、このパーソナライズドプライシングは「常連を殺す」として、コロナ禍の前に中国で話題になった。2018年に「杀熟」(殺熱)がトレンドワードの1つになっている。熱は常連のこと。当時はパーソナライズドプライシング、という言い方はあまりされてなかっったと思う。
常連ともなると、何かしらのおまけ(=値下げ)を期待するものだが、LTV2を上げるには、実のところこうした常連に対して値上げするのが手っ取り早い。殺熱では、iPhoneユーザーに単価の高い高級車が配車されたり、定期購買している商品を値上げしたり、長期会員の定期宿泊にて宿泊費を値上げしたりする事例が報告されていた。記事にも書かれている通り、それをユーザー側が証明するのは難しい。
ニューヨークの規制で議論されているのと同じく、殺熱でも「透明性」がセットとなる。例えば、パーソナライズドプライシングではないが、配車の目的地が富裕層地区の場合は値段が上がることは企業側が公開していたため、そこまで槍玉には上げられなかった。
中国ではこうしたダイナミックプライシングのアルゴリズムは企業努力の1つと見なされるため、透明性があることが前提で、他の国・地域に比べてユーザーに受け入れられやすい、という分析もある。
中国はこうしたパーソナライズドプライシングで数年先をいっている。
日本でも個人プロファイルを見たダイナミックプライシングは浸透しているが、どちらかというと、グループや属性に対するサービス付与、つまりLTVのLifeを長期化する施策が多い気がする。日本人は価格感受性が高く、企業側もブランドリスク管理に慎重な国で、値上げの方向での価格差別は、バレた時のレピュテーションリスクが高そう。一方で、チェーン店の立地別価格のように分かりやすい説明があれば、すんなり受け入れられる気もする3
2026年は、パーソナライズドプライシングでこっそり値上げしているところがバレて、プチ炎上する企業が出る、と予想4
Life time value: 1人の顧客が取引開始から終了までに企業にもたらす累積利益の期待値 ↩︎
プライシングじゃないけど、学歴フィルターは一部で話題になりつつなんだかんだ需要があるわけで、仮にバレたところで、プチ炎上くらいどうってことない、とも思う。 > 就活生が感じた「学歴フィルター」の不条理 「送信した途端落選」「説明会が満席表示」の声も | 就職四季報プラスワン | 東洋経済オンライン ↩︎

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