2025年頭のダボス会議で、EU経済の将来に対して悲観的な見方が広がっていることが話題となった。BlackRockのCEO Larry Finkは “abject pessimism(徹底的な悲観論)” と酷評している1

EU経済が成長鈍化の局面にあり、特にアメリカに対して明らかな後れを取っていること、政治・経済の構造改革が進まないことが、投資家・企業の信頼感に悪影響を与えていることなどがダボス会議で議論された。一部参加者からは、悲観というサインが底値なことを示す、と前向きなのか楽観的なのか微妙なコメントがあった。

The only aspect of AI where Europe leads is its regulation, like the AI law passed last year. The AI regulation is “sometimes so contradictory that you don’t even know how to fulfill it,” said Roland Busch, chief executive of German technology company Siemens.

(欧州が世界をリードしているAI分野といえば、昨年施行されたAI法などの規制政策のみです。ドイツのテクノロジー企業シーメンスのローランド・ブッシュCEOは、「AI規制は時に矛盾しすぎて、どのように遵守すればよいかわからないほどです」と述べています。)

The Darkening Skies Over Europe’s Economy - WSJ

EU Actに関するコメントは激しく同意。

で、2025年が終わったわけだが、残念ながら、この悲観主義は解消には向かっていない模様。イギリスで若者が大量に流出しているというデータが年末に報道されていた。

税制、物価、住宅費、労働条件、将来の不透明感など、要は悲観論を背景となって、大量の若手専門職がイギリス国外に流出している。その流出を親世代は止めるどころか歓迎している傾向にある。流出をエクソダスと表現しているニュースも2

“Many young Britons feel the UK no longer offers the opportunities or lifestyle they aspire to . . . surveys show around 40 per cent of under-35s are planning to emigrate within five years. That’s a frightening statistic.”

(「多くの若い英国人が、英国には自分たちが望むような機会や生活水準がもはや提供されていないと感じています . . . 調査によると、35歳未満の約40%が今後5年以内に海外移住を計画しています。これは非常に憂慮すべき統計です」)

悲観主義と移民排除、若者の流出を関連付けたブレイディみかこ氏のコラムが面白かった。


  1. BlackRock CEO Fink: I’ve never heard so much pessimism on the future of Europe ↩︎

  2. エクソダスとは、人々が一斉に、あるいは大量に移動すること。旧約聖書の出エジプト記(The Book of Exodus)より。社会的なインパクト含意する場合に使用される表現 > This mass exodus of young people is a damning indictment of modern Britain ↩︎