アンブローズ・ビアスが1881年に新聞で連載し1906年に書籍化された「悪魔の辞典」(Amazon)という本がある1。普通の単語を辞書形式でブラックユーモアたっぷりかつ辛辣に定義する、という諷刺本の一種。単なるシニシズムではなく現実的な人間観察が人気を博した。
この悪魔の辞典にインスパイアされる形でいくつかの派生本があり、こちらはそのビジネス版。2016年に新書で出たものを更新したもの。
やたらめったらビジネスカタカナ語を多用する自称コンサルタント2に対して、一定の冷めた目で見られるようになる本。図解が意味をなしているのかよく分からなかったので、であれば新書版のまま出してもらった方が電子書籍でも読みやすかったのに、と思わなくもない。
そういやこっそり言い換えているカタカナ語に「インクルーシブ」がある。特にユーモアはない。
インクルーシブ
正しいかどうかはさておき、自分は インクルーシブ はだいたい 愛社精神 と言い換えている。
- インクルージョン(Inclusion) : 排除されず、参加できる構造があること
- ビロンギング(Belonging) : ここにいていいと感じられること
- エンゲージメント(Engagement) : 仕事や組織にエネルギーを向けている状態
どれも一人のメンバーが高いパフォーマンスを出してもらう取り組みだが、基本的には、全部 愛社精神の醸成 なんじゃないかと。教科書的な意味でのインクルーシブは、熱意ややる気、暗黙の前提みたいな「会社に合わせろ」とは真逆なので、原理主義者から怒られそうだけど
真面目な話をすると、インクルーシブ・リーダーシップ3たるご立派な研究領域では、例えばインクルーシブに心理的なオーナーシップを持たせると、革新的な行動につながるという研究がある4。当事者意識は大事。
初期の書籍タイトルは「The Cynic’s Word Book」。掲載開始年などは諸説あるらしく、詳しくは > 悪魔の辞典 - Wikipedia ↩︎
なぜコンサルは「カタカナ語」を使いたがるのか?→現役コンサルの答えがド正論すぎて、ぐうの音も出なかった | コンサル業界「本物と偽物」 | ダイヤモンド・オンライン ↩︎
異なる人が力を出せる前提で意思決定と仕組みを設計するリーダーシップ ↩︎
How Inclusive Leadership Catalyze Innovative Work Behaviour: The Moderating Effect of Psychological Ownership | International Online Journal of Educational Leadership ↩︎
