産業化を促進するため、国の研究費で生まれた発明の特許を大学・研究機関・中小企業が保有できることを定めたのがバイドール法。1980年に制定され、アメリカの強固な起業エコシステムを促進した画期的な発明、と言われている。

日本では1999年の産業活力再生特別措置法30条や2002年の知的財産戦略大綱でバイドール法と同等の産業化促進が図られた。以降いくつかの改正を経て、産業技術力強化法第17条が日本版バイドール法とされている1

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バイドール法と技術移転機関の設置

バイドール法と技術移転機関の設置2

このバイドール法と関連して「介入権(March-in rights)」がある。その名の通り、政府資金で生まれた発明について、その発明を保有・独占している主体(大学・企業など)が十分に社会実装しない場合に、政府が介入(=“march in”)して第三者に利用させられる権利のこと。バイドール法に定められている。

2023年に当時のバイデン政権が薬価や医療費を下げるために、この介入権を行使するかどうかで話題となった3。結局、この介入権を使ったアプローチは議会や産業界から猛反発に遭い行使はされず、インフレ抑制法などで個別交渉により医薬品の薬価下げへと至った4

さて、バイドール法の本家アメリカでは、ラトニック商務長官が「国の出資や助成を受けて得た利益は納税者に還元すべき」「(かねてより圧力をかけていた)ハーバード大の知財没収」という意見を述べ、バイドール法の理念が揺らいでいるとか5