モチベーション高くスクラムを取り入れ、教科書通りにスプリントを回す。日々消化されるアイテムや定期的なリリース・レトロスペクティブに最初こそ盛り上がるが、いつの間にか、バックログだのレトロスペクティブだのが形骸化し、表面上スクラムをなぞっているだけになっている。スプリントは回せているが、顧客に本当の価値を届けられなくなっている気がする。
こうした状況をカーゴカルトスクラムとかメカニカルスクラム、ダークスクラムなどと呼ぶが、本書では ゾンビスクラム と呼び、このゾンビへのレジスタンスを紹介している。
まず大きく以下の2つのことを再認識する
- ステークホルダーが望むものを作る
- 速く出荷する
そして、これら2つを常に意識できる自律したチームを作る(自己組織化)。
ステークホルダーが望むものを作る
スクラムガイドでは意図的に、ステークホルダーを「プロダクトに利害があるすべての人」と網羅性の高い言い方をしているが、この曖昧性がゆえに、都合の良いステークホルダーとのみ対話し、その結果ゾンビスクラムとなる。
本書ではプロダクトに真に利害のあるステークホルダーを見つけ、ステークホルダーに集中することで、ゾンビスクラムからの回復の始まり、としている(p51)。特定された真のステークホルダーを、なるべく初期から、スプリント開発全般に巻き込めるとなお良い。
速く出荷する
チームはサボっているわけでもないし、ドキュメントが不足しているわけでもないが、環境やプロダクトの複雑さゆえ、リリースのサイクルが1か月、3か月、半年と伸びていき、ゾンビスクラムとなる。
スクラムフレームワークの目的は、ステークホルダーに完成したインクリメントを十分な頻度で届けことだった。言い換えると、彼ら彼女らに受け入れられないものにお金と時間を浪費させないことである。このためには、「十分な速さ」でリリースし、仮説検証のループを回すことが重要である(p104)。

図7.1 なぜ、わざわざ速く出荷する必要があるのか(p105)
自己組織化
ステークホルダーとの対話や十分な速度での出荷は一度解決できたとしても、時間が経つとゾンビ化してしまう。そこで、チーム自身が常に最適な解決策を見つける必要がある。
スクラムフレームワークは、プロダクトに存在するエラーと、このエラーを検出するまでにかかった時間とその期待とのギャップという、2種類のエラーに注目している。この2つのエラーに対応するのが、ダブルループ学習となる。

図9.1 シングルループ学習とダブ部ループ学習(p162)
チームや組織が安定してくると、変換に対してポジティブに推進していく力に対し、それを抑制する力が大きくなる。この根本には、ゾンビスクラムが失敗を外れたり、失敗を評価しないことによる。ダブルループ学習は、その状況を変えるためのプロセスを提供する。
