最近、AI利用による効率化を背景に従業員の4割を解雇したブロック社1のジャック・ドーシー氏とセコイアキャピタルのロエロフ・ボサ氏が、「AIに身を委ねる組織図が良い」というコラムを投稿していた。
機能別階層化組織の歴史や、マトリクス組織やホラクラシーの限界を振り返りつつ、こうした組織構造は、人間が主要な調整手段であることを前提としていたが、この調整機能そのものを生成AIに代替させようとしている。
ポイントは、中間管理職が担っていたような業務を理解する「世界モデル」と、具体的な顧客の取引を理解する「顧客の世界モデル」を連携させ、その世界モデルを元にソリューションを提供する「Intelligence Layer」を組織する。人間はIndividual Contributor(IC)として、世界モデルと現実の間の橋渡しをする。意思決定が必要な場合はIntelligence Layerに従えば良い。
Metaはザッカーバーグが社内の情報を効率よく把握するのを目的としたCEO専用のAIエージェントを開発しているらしい2。さらに従業員との円滑なコミュニケーションの一助となるように、ザッカーバーグAIも作っているらしい3。ブロック社が試しているIntelligence Layerとは異なるが、中間管理職を不要とする、従業員はICに集中する、という部分が共通している。
生成AIとスクラム
世界モデルまで作れるかどうかはさておき、現実の開発体制はどうするのが良いか。アトラクタCTOの吉羽氏が、「生成AIでスクラムによる開発はどう変わるか」というタイトルで非常に分かりやすくまとめていた。
これまで開発体制は、実装時間が長い=ボトルネックであることを前提としていた。しかし、コーディングエージェントの登場により、ボトルネックは検証時間やエージェントが理解できる詳細なドキュメント更新の時間に移ってきた。まずここが一番大きな変化。
開発チームはより小さく、開発イテレーションはより短く、バックログアイテムはエージェントが理解しやすい単位へと進んでいく。これに伴い、レビューへのステークホルダー参加頻度、コーディングスキルの育成、よりメタな検証などの難しさが発生する。
よりエージェントが実装しやすい(かつもちろん人が検証しやすい)アーキテクチャへ変わるということは、それに合わせて組織体制も変えるのが良い。いわゆる逆コンウェイの法則4。同資料でも、チームトポロジーやダイナミックリチーミングを参考にしながら構造を意図的に変えることが提示されている(スライドp26)。
同資料では「スクラムマスターはAIには任せられない」と明言されていたが、もし、顧客のシグナルを理解し予測する世界モデルができるのなら、Intelligence Layerはスクラムマスターのような役割も担えるのかもしれない。
